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- 研究目的 -

行動の分子レベルでの理解のために

- 研究紹介 -
線虫の感覚受容のメカニズムの解明

化学走性行動のメカニズムの解析

連合学習の解析

嗅覚順応の解析



神経回路の働きの解析

特定の神経細胞の遺伝子発現の解析



- 線虫の説明 -
線虫をよく知らない方は
こちらを参照して下さい。


線虫って何?

線虫を用いた分子遺伝学

線虫の神経

線虫キーワード索引

線虫C.エレガンス (C. elegans) とは?

 C. elegansは、非寄生性の線虫(nematoda) の一種です。 C. エレガンスは一個体が約1000個 (ただし生殖系列を除く)の細胞より成ります。これらの細胞は、すべて生きたまま顕微鏡下で観察、同定できます。このおかげで、受精から成虫に至るまでの細胞系譜が完全に解明されています。また、電子顕微鏡を用いた再構築により神経回路のネットワークが完全に明らかにされているという際だった特徴があります。このネットワークは非常に複雑であり、その働きの理解は我々にとっての大きな課題となっています。 C. エレガンスにはさらに、遺伝学、逆遺伝学が容易に行えることに加え、全ゲノムの塩基配列が分かっているという研究上の利点があります。

線虫C.エレガンス

線虫の発生様式
線虫は、25℃で餌(大腸菌)が豊富にある環境では受精卵から約2日半で成虫へと成長します(線虫の生活環)。一方、、高温、餌が無い、個体密度が高いなど、環境が悪化すると、L1幼虫期に発生パターンを切り替えて耐性幼虫(dauer larva) になります。耐性幼虫は体が細く、生殖能はありませんが、乾燥や高温などに耐性を示し、餌の無いところで60日以上生きることができます。再び、生存に適した環境になると、耐性幼虫は配偶子形成が可能な成虫へと成長します。線虫はこのように苛酷な環境でも生きながらえ、子孫を残せるような発生戦略を持っています。

胚発生期(embryonic stage) は、前半の「細胞増殖期」と後半の「形態形成期」に大別できます。細胞増殖期では目だった構造を作ることなく細胞分裂が続きます。形態形成期は消化管、筋肉、ニューロンなどの器官が形成されます。ムービー画像(11Mbあります。再生にはQuickTimeが必要です。Goldstein lab によるもの。)

受精から成虫にいたるまで、個々の細胞がどの様な分裂様式を経て分化していくのかを追って作成されたものが細胞系譜図です。詳しくはこちらをご覧ください。

線虫のからだ
線虫の体は成虫の雌雄同体(hermaphrodite) で959個、雄(male) で1031個の体細胞でできています(詳細な写真 その1 その2)。非常に少ない細胞数ですが、咽頭(pharynx)腸(intestine) などの消化器官、体を動かすのに必要な神経(neuron)筋肉(muscle)、体の構造の維持に必要な下皮(hypodermis)、配偶子形成に必要な生殖組織(germ line)など、動物の基本的な構造を全て持っています。



線虫の神経系
線虫は成虫の雌雄同体で302個のニューロンよりなる神経系(nervous system) を持ちます。この神経系において、様々な行動や学習、発生などの情報処理が行われています。線虫の神経回路についてもっと知りたい方は、こちらをご覧ください。
線虫の神経ネットワークはデータベース化されています!→J. G. White et al., Phil. Trans. Royal Soc. London. Series B, Biol Scien. Vol.314, (1986), 1-340 / 概要 /個々の神経

ASE感覚神経を蛍光タンパク質GFPにより可視化した


線虫のゲノム
線虫ゲノムは、およそ1億の塩基配列からなります。コンピュータープログラムにより、現在19,000個の遺伝子がゲノム上で予測されています(驚くべきことにこの数はヒトゲノム上の予測遺伝子数とほぼ同程度です)。このゲノム情報は線虫のみならず、ヒトを理解するうえでも非常に役立ちます。詳しい解説はこちらをご覧ください。
(富岡征大)

その他の一般的な線虫の情報

<和文参考書>
線虫全般の簡単な入門書として、
共立出版、ネオ生物学シリーズ⑤
「線虫-1000細胞のシンフォニー」
小原雄治編 ISBN4-320-05455-5 (1997) 
というのがあります。少し古いですが。

線虫研究の現状を概観したレビューとして、
シュプリンガー・フェアラーク東京、Springer Reviewシリーズ
「線虫-究極のモデル生物」
飯野雄一、石井直明編 ISBN4-431-71029-9 (2003)

また、線虫を用いた実験のための実験マニュアルとして、
シュプリンガー・フェアラーク東京
「線虫 ラボマニュアル」
三谷昌平編 ISBN4-431-71028-0 (2003)
をご覧ください。


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