線虫を用いた分子遺伝学

線虫の遺伝学入門 ~線虫を使うことで、どのようなことが調べられるのか知りたい方へ~

当研究室の専攻内容は線虫を用いた分子遺伝学(molecular genetics)、もしくは行動遺伝学 (behavioral genetics)です。
 線虫を遺伝学で用いる利点は、まずその世代が短いことです。わずか4日程度で卵から成虫まで成長します。そして、線虫は雌雄同体(hermaphrodite)雄(male) という2つの性が存在し、雌雄同体は雄がいなくても、単独で卵を100個体以上、産むことができます。さらに、線虫に対して人為的に薬剤処理を行うことで、遺伝子に傷をつける、すなわち変異を与えることで疾患生物を作製することが技術的に可能です。もちろん、それらの個体も>致死(lethal)・不稔(sterile) (=子供を産まない)などでなければ、数日飼育することで、たくさん増やすことも可能になります。
 このような遺伝学のアプローチは、大きく2つに分類することができます。順遺伝学的方法論(forward genetics approach)逆遺伝学的方法論 (reverse genetics approach)です。順遺伝学な手法とは形質から入っていくもので、変異原処理を行いランダムに変異体(mutant)を作製した後、何か目的の異常、つまり表現型(phenotype)を示す個体を探し出してきて解析していく方法です。それに対して逆遺伝学的方法論とは、遺伝子を担っているタンパク質、もしくはそれをコードしているDNAといった分子のレベルから始める方法論で、まず特定の遺伝子を狙って、その機能を損傷させます。その結果、どのような異常表現型を示す個体が現れてくるかを観察するのです。以下はその両手法について具体的に説明します。

(池田大祐、山田康嗣)

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(1)順遺伝学
(2)逆遺伝学
(3)機能解析過程における遺伝学的方法論