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哺乳類での神経機能解析

線虫で明らかになった神経の分子機構はより高等な動物でも使われているのでしょうか? これまで私たちが注目してきた大事な遺伝子のほとんどは哺乳類にもホモログがあります。これらは同じ機能を果たしているかもしれませんし、高度に発達した動物ではより高度な脳機能に働いているかもしれません。これを調べてみたいと思うのは自然な欲求です。

そこで、新学術領域研究「多様性から明らかにする記憶ダイナミズムの共通原理(記憶ダイナミズム)」の研究の一環として、マウスのホモログ遺伝子をノックアウトするプロジェクトを開始しています。最近開発されて急速に普及しつつあるCRISPR/Cas9法を用いることにより、迅速にマウスの遺伝子のノックアウトができることが分かっています。マウスの受精卵にCas9ヌクレアーゼと標的配列をもつガイドRNAを微小注入し子宮に戻すと、生まれてきた子供の多くがノックアウトマウス(ホモまたはヘテロノックアウト)になっています。最短で一か月ほどでノックアウトマウスが作れるのです!

学内の共同研究によってこのようにノックアウトを作製し、脳に異常が生じるかを、さまざまな行動テストや脳の神経活動の測定により調べます。線虫もマウスもそれぞれに異なる利点を持つ魅力的な研究材料です。特に、マウスはより高次の脳活動を行い、記憶の種類や動態もさまざまですので、我々人間の思考により近い現象を研究できます。

私たちはこれらの材料を間を行き来しつつ、包括的な神経機能の理解に結びつけていこうと考えています。

 マウスと線虫

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